抜歯をしない矯正治療

抜歯をしない矯正治療実践

矯正界では、Angleという先生が抜歯を伴う矯正をせず、全体を拡大するような治療を推進してきました。一方、この手法だと口元が盛り上がってしまい、審美的によくないこともあるため、Tweed先生は小臼歯を抜歯して歯を並べる治療を普及させました。特に叢生といって、歯並びがガチャガチャしている方の場合、歯を抜くことでそのスペースが確保できるため、後戻りが少ないこともその長所に挙げられます。

しかし、本当に抜歯を伴う矯正治療が理想なのでしょうか?

小臼歯の抜歯の問題点として以下の点が指摘されています。

  1. 前歯が過剰に後ろに下がる
  2. 下あご全体が後ろに下がってしまう
  3. 噛み合わせの高さが低くなってしまう
  4. 舌のスペースが狭くなってしまう
  5. 小臼歯そのものの役割の欠如
2の下あごが後ろに下がってしまう問題ですが、以前から何度か指摘しているように、顎関節症のほとんどは、下あごが後ろに下がってしまう病気です。小臼歯を抜歯することは顎関節症を引き起こす可能性が高くなるということです。

5の小臼歯そのものの役割ですが、噛み合わせの位置を保持する「支持」の役割と、下あごの動きを理想的に誘導するという2つの役割を担っています。

事実、ホームページを見て来院された患者さんの中に、とても綺麗に仕上がっている矯正治療であるにも関わらず、顎関節症になっている方を見ることがしばしばあります。

Dibbets先生の報告によると、矯正治療終了後に「あごがカクカクなる」といった雑音の発現率は、小臼歯を抜歯して治療をした患者さんの集団では、一般の矯正治療に比べ2倍であったとあります。

矯正治療は必ずと言ってよいほど噛み合せの位置が変化します。単に見た目を良くすることだけを考えて治療をした場合、思わぬ結果を招く危険性があるわけです。治療前にしっかりとした治療のゴールを設定し、治療計画を練ると、抜歯が必要な症例がないことに気づきました。
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