杉山歯科医院

歯周炎が進行した患者さんがインプラント治療を希望された場合

「歯周病が進行しているから、インプラントは無理かもしれない…」 そう諦めていませんか? 当院では、事前の歯周病治療を徹底することで、重度の歯周病だった方でも安全にインプラント治療を行えるケースがあります。今回は、実際に治療を終えられた患者さんの歩みをご紹介します。




1. 初診時:「風が吹いても歯が抜けそう」な状態

60代の男性の患者さんが「歯周病を治したい」と来院されました。 検査をすると、歯周病菌の中でも特に悪性度の高い菌(P.g.菌など)が多数検出され、歯周ポケットの検査では74%の箇所から出血がありました。(※健康な状態の目標は5%以下です。74%の出血はお口全体に強い炎症が起きている危険な状態でした。)細菌検査を行ったところ、歯周病菌の中でも悪性度の高いred complexと呼ばれる3種類の歯周病菌がすべて高い値で検出され、中でも問題のあるP.g.菌はⅡ型(6種類のうちで最も危険な種類)であることが判明しました。

202204初診時


どうしても残すことができない歯は抜歯をして、上下とも抜いたところは部分入れ歯を装着してもらいました。

2. 徹底的な歯周病治療:担当衛生士との二人三脚

ここからが一番大切な期間です。 患者さんご自身も大変真剣に治療に向き合ってくださり、当院の担当歯科衛生士と二人三脚で、お口の環境改善(歯周基本治療)に取り組みました。 正しいブラッシングを毎日続けていただいた結果、お口の中は見違えるように綺麗になりました。

3. インプラントへの挑戦:出血率0%の達成

数ヶ月後、患者さんご自身も状態の劇的な変化を実感され、「入れ歯ではなく、インプラントでしっかり噛めるように治したい」とご希望されました。
再度精密検査を行うと、歯ぐきからの出血率はなんと「0%」に。悪玉歯周病菌も基準値以下(測定できないほど微量)まで減少していました。この完璧とも言える健康な土台が整ったことを確認し、インプラント治療をスタートしました。

歯周治療が終了し、入れ歯で噛める状態

4. 仮歯でのテスト期間:清掃性を極める

インプラントの手術後、すぐに最終的な歯を入れるわけではありません。 まずは「仮歯」を入れて噛み合わせを確認します。

【1回目の仮歯】
1回目の仮歯


最初の仮歯では、歯ぐきと接する裏側の部分がご自身で少し磨きにくいことが分かりました。
そこで、より本物の歯に近い形に修正した「2番目の仮歯」に変更。これにより、汚れが溜まりにくく、ご自身でのお手入れが格段にしやすい環境を作り上げました。

【清掃性を高めた2回目の仮歯】
2回目の仮歯

5. 治療完了:入れ歯なしの口元と、新しい習慣

仮歯でのテストを経て、お掃除がしやすいことを確認した上で、最終的なかぶせ物を装着しました。現在も良好な状態が続いています。

【最終的なかぶせもの】
最終的なかぶせもの


この成功の最大の要因は、インプラントの手術そのものよりも、「患者さん自身の意識が変わり、正しい歯みがき習慣が身についたこと」、そして「定期的に歯科医院を受診するようになったこと」「適切な時期にインプラント治療を行ったこと」「かぶせ物が磨ける状態かどうかを確認したこと」です。
しっかりとしたステップを踏めば、歯周病が進行した方でも、再びご自身の歯のように噛める喜びを取り戻すことができます。お悩みの方は、ぜひ一度ご相談ください。